製作から配給・宣伝まで、映画業界を目指す人々を育成する場として、11年の歴史を歩んできた「ニューシネマワークショップ(以下NCW)」。本校のカリ キュラムのひとつ、次代の映画プロデューサーを養成する「映画プロデューサーコース」の本年度第2期プログラムが10月よりスタートする。これに先立ち、 7月21日(月・祝)、「プロデューサーってこんなにスゴい!!」と題し、北野武監督作品のプロデューサーで「オフィス北野」代表取締役の森昌行氏と、本 コースで教鞭も執る映画プロデューサーの河井信哉氏を講師に招いて、2時間にわたる熱いトークイベントが繰り広げられた。
“世界のキタノ”と呼ばれるまでになった北野武監督作品にずっと携わってきており、最新作『アキレスと亀』の公開も控える森氏。だが、「監督・北野武が正 当に評価されるには『HANA−BI』まで待たなきゃいけなかった。海外の映画祭に呼ばれるようになって、ヨーロッパ中心のマーケットで映画が売れ始める ようになった。監督も我々もモチベーションだけは維持して、なんとかいままで作り続けてこれました」とビジネスの成功に至るまでを明かした。いわゆる大作 ではなく、あくまで北野武という“作家主義”の映画作りを貫き通してきた森氏。とは言え、当然、興行的な成功の責任も担う。「いまは大ヒットしなくても、 死後に評価されるかもしれない。そんな長いスパンで作品を見ています。知的財産を残すという意味もありますし。作家主義を選んだ時点で興行的に苦しむとい うのは必然ですから、我々の最大の課題はリクープメント(費用を回収すること)です。作家主義はやっぱりつらいですよ(笑)」。
フジテレビ系の大作から単館系映画まで幅広く手がけてきた河井氏も、これには納得の様子。河井氏は、『スワロウテイル』など岩井俊二監督作もこれまでに4 本手がけているが、『リリイ・シュシュのすべて』を例に挙げ「シナリオを読む限り、回収は難しいなと。出来た映画を観たらクオリティは素晴らしかったけ ど、興行的にはやっぱり厳しかったですね」と“作家主義”作品の難しさを口にした。
作品の質がどんなに良くとも、それが必ずしも動員に結びつかないという現状。森氏はその要因の一つとして興行形態の変化を指摘する。「10年ほど前にあっ たアートハウス系のミニシアター・チェーンが完全に崩壊して、いまはシネコンに取って代わられてる。そうすると、1作品につき半年間の上映なんてまず不可 能に近い。間口は商業主義的なもので全然構わないし、そういう映画があるから逆に我々は映画が作れているけど、マーケットはフェアなようでフェアじゃない んです。作家のニオイのするものが劇場でかからないという危惧はありますね」。河井氏も、映画を「観客にとって、自分から探すことができるメディア」と前 置きしながら、「極端な例で、20年ほど前に単館公開した『ニュー・シネマ・パラダイス』は、40週間上映したし、一番客が少ないのが1週目、一番多かっ たのは最終週だった。それがいまはシネコンが増えたせいで、土曜の1回目にどれだけ客が来るかということだけで作品が当たるかどうかが決まってしまう。 やっぱり映画は観客が自分で見つけてヒットするというのが、一番幸せです」とキッパリ。
最後に、集まった聴衆に向けて森氏は「これからは様々なメディアに精通していなければなりません。ソフトビジネスという大きな枠組みの中で、インターナ ショナルな目線を持つことが大事。そして映画の将来はプロデューサーに懸かっています。優秀な監督を世に出すには、プロデューサーがいなければならないの ですから」と語った。なお、NCW「映画プロデューサーコース」は現在、申込受付中。
映画の世界を目指す方は、今日とても多いでしょう。昔でこそ、日本はドラマの国といわれていましたが、現在では、撮影技術、映像技術の進歩と、ハリウッド映画にも引けをとらないエンターテイメント力を身につけた、クオリティの高い作品は数多く生まれています。
もちろん、日本の得意とするホラー作品や、アニメ作品の勢いの方が未だ強いのは確かですが、これから未来に、期待の新人監督、俳優、脚本家など様々なシーンを彩る人材が生まれゆくのも容易に想像できますね。日本の映画界も将来が楽しみです。
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