韓国統一省によると、北朝鮮南東部の観光地、金剛山(クムガンサン)で11日午前4時半ごろ、海水浴場の周辺を散歩していた韓国人の女性観光客(53)が 北朝鮮兵士に銃で撃たれて死亡した。韓国と北朝鮮による南北共同事業として知られる金剛山観光で、韓国人観光客が銃撃を受けて死亡したのは、1998年の 事業開始以来初めて。韓国政府は、12日から事件の真相が究明されるまで、金剛山観光事業を中断すると発表した。
金剛山観光事業を行っている韓国の企業、現代峨山が北朝鮮側の説明として伝えたところによると、女性は観光区域から鉄条網を越えて、軍の警戒区域に1人で 入った。北朝鮮の兵士が停止を求めたが、女性はこれに応じず逃走した。このため兵士は警告射撃をした。しかし、女性がさらに約1キロ、集落に向かって逃げ たために銃撃したという。
女性の遺体は11日午後、韓国の江原道束草市内にある病院に運ばれた。韓国の通信社、聯合ニュースによると、検視の結果、背中などに背後から2発の銃弾を受けていた。北朝鮮側から韓国政府への事件に関する連絡はなく、現代峨山に午前9時20分ごろ、連絡が入ったという。
韓国の李明博大統領は同日開会した国会の施政方針演説で、これまでの対北強硬路線を弱め、「南北の全面的な対話の再開」を呼びかけたばかりだった。今回の 事件は早くもそれに水を差すかたちとなった。青瓦台(韓国大統領府)によると、李明博大統領は事件について、「国民が犠牲になったことをとても残念に思 う」と哀悼の意を表するとともに、政府の関係部署に徹底した真相糾明を指示した。
金剛山観光は南北経済協力事業として、1998年11月に開始。これまで観光に参加した韓国人の事故死や病死はあったが、銃撃による死亡は初めて。昨年末に始まった北朝鮮南部の古都、開城への観光事業や開城工業団地の運営は引き続き実施されるという。
大変痛ましい事件が起こりました。観光客である韓国人女性を北朝鮮兵士が射殺するというものです。これは確かに観光客であった女性が、金網で区切られている立ち入り禁止区域に侵入してしまうという、間違いを犯したものの、威嚇射撃によって民間人がパニックに陥る可能性が非常に高い中、走って逃げている、しかも女性を射殺したのです。
女性には確かに非ががあったことは事実ですが、この事件をきっかけに、南北の朝鮮がまたお互いに距離をとり、政治的にも緊迫した状況になることは容易に想像がつきます。
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