来年から始まる裁判員制度で、障害のある人が裁判員に選ばれたとき、どのような支援が必要か検証する模擬裁判が東京地方裁判所で開かれ、耳の不自由な人が全国で初めて裁判員として参加し、手話通訳のサポートを受けながら審理に臨みました。
模擬裁判では、酒に酔った男が顔見知りの男性をナイフで刺した殺人未遂事件の審理が行われ、被告に殺意があったかどうかが争点になりました。
耳の不自由な人が参加した法廷では、3人の手話通訳が交代で審理や評議でのやりとりをすべて手話で伝えました。
裁判員制度では、わかりやすい裁判を目指して図や表を法廷のモニターに映すなど視覚的な資料を多く使いますが、これらの資料を見ている間は、手話を見ることが難しくなります。
このため、検察官は、モニターの画面と手話通訳を交互に見られるよう、文章を区切ってゆっくりと説明していました。
その一方で、弁護士の説明はとぎれなく続いたため、手話が追いつかない場面も見られました。
裁判員として参加した木村晴美さんは「参加できたことは満足ですが、わからないことがあっても途中で聞き直すのは難しく、理解できない点もありました。手話通訳の技術によっても差が出るので、ぜひ技術を高める研修を企画してほしい」と話していました。
耳の不自由な人が裁判員として参加したのは全国で初めてで、裁判所では、こうした模擬裁判を重ねて障害のある人への支援態勢を整えたいとしています。
裁判員制度については様々な問題が指摘されていますが、障害を持つ人がきちんと裁判員として成り立つ環境を国が準備することもその一つです。確かに耳の不自由な方が、裁判をリアルタイムで全てを追って把握できるかと言えば、難しいのかもしれません。それに対して、裁判員制度では今のところ、選ばれる抽選によっては当然、障害を持つ方もいらっしゃると思います。これから来年に向けてきちんと環境を整えて欲しいものです。
しかし、これは問題点の1つに過ぎず、大元の裁判員制度の守秘義務や、量刑までを裁判員が判断するという責任の重さを考慮すると、来年の実施までの期間に見直し、検討が必要不可欠なのではないかと、心底考えています。簡単に可決されてしまったこの「裁判員制度」が問題なくスムーズにいくはずもなく、根底の基準、制度そのものを是非、今一度討論してもらいたいものです。
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